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現場改革を阻む暗黙のルールとは(組織を支配する暗黙のルール 1)

2020.06.18

こんにちは。
高崎ものづくり技術研究所の濱田です。
当研究所は、中小製造業の現場ですぐ使える品質管理、生産管理、組織・人材管理ツールなどを紹介しています。
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組織には規定、業務マニュアル、作業手順書などの明文化されたルールと、経営者や上司の指示、場の空気、慣習など暗黙のルールが存在します。また、熟練技能には、明文化が難しい勘・コツ作業、ノウハウ(暗黙知)が存在します。

1.ルールを守ることは良いことか
日本人はルールを守って、秩序正しい行動をする民族だと言われています。
大きな災害が発生しても、人々は秩序正しく、救援物資を奪い合うこともなく、長い列に黙々と並ぶ姿は、驚きと称賛をもって海外に伝えられています。

(1)ルールと慣習、どちらが大事?
しかし、日本人は世の中の常識、組織の常識、仲間同士の常識の中で他人に合わせ、同じように行動すると言われています。そのために、法律を守ることも大事だが、組織や仲間で共有する常識の方がより大事だという考えが根付いているように思います。

そういった考え方の中で、企業組織においてもルールはルールとして存在するが、現実には組織の常識、従来からの慣習を優先してしまうというのが多くの日本人の考え方です。
ISO9000などのマネジメントシステムが根付かず、形骸化してしまうのは、何もマニュアルがなくても、今までのやり方で仕事はうまくいくという考え方が根底にあるからではないでしょうか?

中国には「上に政策があれば、下に対策あり」ということわざがあります。これは中国人が交通規則や法律などを守らなくてもうまくすり抜けるための対策に知恵を絞っている様を示すものとして有名な言葉です。反面、日本人は従来からの慣習を重視するため、「臨機応変な対応」が苦手であるとも言われます。

(2)良い風土と悪い風土
良い風土の組織では、「問題が発生すると関係者とコミュニケーションを取り、部署間の協力関係によって即座に原因を究明し、対策を講じることによって仕事をより進めやすくする」という考え方が当たり前になっているはずです。

ところが、「問題があってもだれも手を付けない」「他部署の人が困っていても協力する人がいない」「社員がアイデアを積極的に提案しない」といったことが当たり前になっている組織は、「悪い風土」が根付いていると考えられます。 「組織特有の思考・行動パターン」は、外部からの刺激が入りにくい環境で、一緒に仕事をしている時間が長ければ長いほど、大きく強固になっていきます。
例えば、ベテラン世代が口癖のように主張する「昔はこうだった、こうしてうまくいった」と自慢話で言うように彼らが正しいとする経験談を、時代が変化した今の時代、若い世代に押し付けるという現象も良く見られる光景です。
また、経営者にしても結局「変革する」ことに対する「リスクの不透明さ」や「現状維持に対する安心感」からくる「決断の遅れや迷い」があると考えられます。

風土、つまりその組織で共有された思考・行動パターンが、時代遅れになり、間違った方向に組織を向かわせてしまうとき、不祥事や深刻な経営危機が起きます。ニュースなどで、問題を起こしてしまった組織の社員の行動として、頻繁に見られるのは以下のようなものです。

「ずっと以前から、これではいけない、これはおかしいと現場の社員は皆気づいていた」、誰もが「おかしい」「これは間違っている」と気づいていながら、その考え方、行動の仕方を正す勇気を持てないのです。だから、組織風土改革は「個々の人間の弱さとの戦い」と言えるかもしれません。

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