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スマートファクトリーへのロードマップ(中小企業のスマートファクトリー化 2)

2020.06.18

こんにちは。
高崎ものづくり技術研究所の濱田です。
当研究所は、中小製造業の現場ですぐ使える品質管理、生産管理、組織・人材管理ツールなどを紹介しています。
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2017年5月に経済産業省より「スマートファクトリーロードマップ」が公表されました。
日本の製造業においてスマートファクトリーが求められる要因は、「人材不足」と「超高齢社会」があります。このままでは熟練工によって維持されていた高度な技術を次世代の人材に伝えていく「技能継承」が困難になることを意味します。

今後は、さらに世界的な感染症の影響拡大などに伴い、製造業の置かれた立場は益々厳しくなり、生産性向上対策、新たな付加価値の創出などをさらに加速させるなどの、経営のあり方そのものの見直しが求められているといえます。

1.ものづくりのスマート化とは
「ものづくりのスマート化」の具体的なイメージとしては、以下のようなデータを活用したものづくりを指しています。
・ロボットを使って作業を自動化し、人間の負荷を軽減
・無線、インターネット技術活用により現場の状況をリアルタイムで把握
・各種センサーからの情報を蓄積、分析して稼働率アップ予知保全などに活用
・AR(Augmented Reality:拡張現実)やVR(Virtual Reality:仮想現実)を利用して熟練工の作業
の形式知化と教育訓練に活用

スマート化は、日頃企業が取り組んでいる7つの身近なテーマに沿って進められます。
・品質の向上
・コストの削減
・生産性の向上
・製品化・量産化の期間短縮
・人材不足・育成への対応
・新たな付加価値の提供・提供価値の向上
・その他(リスク管理の強化など)

2.スマート化のロードマップ
経済産業省が提唱する 「スマートファクトリーロードマップ」は、IoTなどを活用したものづくりのスマート化の方向性・レベルや、スマート化を進めるにあたっての成功のポイントなどを整理したものです。品質の向上、コストの削減、生産性の向上など、日頃、企業が取り組んでいる身近な項目を目的別に整理することで、実現したいことに応じたIoTなどの活用方法が探しやすいロードマップになっています 。
この「スマートファクトリーロードマップ」は、スマート化をどのように進めていけば良いかわからない中小製造業における戦略立案のガイドラインとして活用していくことを目的としています。

(1)システムの導⼊のステップ
スマート化システムとして、IoT、ロボットなどのシステムを導入するステップを以下に示します。
STEP1:スマート化の構想策定
 成功のポイント:経営者のトップ主導による推進
①目的目標の明確化
②社内体制の構築
③構想の策定

STEP2:トライアルシステム導入
 成功のポイント:全体最適を念頭に初期段階ではスモールスタートで始めるべき
①要件定義
②システム導入、実証
③トライアル
④評価、改善

STEP3:運用
 成功のステップ:導入効果を共有し、従業員のモチベーションを向上させる
①運用
②定着

(2)データ活用のレベル
データ活用のレベル(スマート化のレベル)は、IoTなどをどのように活⽤し、どのような状態を実現すればよいか、イメージできるように整理したものです。

レベル1:データの収集・蓄積
有益な情報を見極めて収集して状態を見える化し、得られた気付きを知見・ノウハウとして蓄積できる
レベル2:データによる分析・予測
膨⼤な情報を分析・学習し、⽬的に寄与する因⼦の抽出や、事象のモデル化・将来予測ができる
レベル3:データによる制御・最適化
蓄積した知見・ノウハウや、構築したモデルによる将来予測を基に最適な判断・実行ができる

出典:経済産業省「スマートファクトリーロードマップ」〜 第4次産業革命に対応したものづくりの実現に向けて 〜 2017年5月31日
  https://www.chubu.meti.go.jp/b21jisedai/report/smart_factory_roadmap/index.html

中小製造業にとって、スマートファクトリー化への取り組みは、始まったばかりであり、また決して順調とは言えない状況にあります。
それは、今までの現場の改善レベルと異なり、IoTやロボット導入することで、経営課題解決にどう結び付けていけば良いのかわからない、導入を検討できる技術人材が不足している、費用対効果が見えない点にあります。また得られたデータを分析し、改善につなげていく人材の不足もネックとなっています。

そこで、スマート化を進めるにあたっては、小規模な取り組みからスタートし、導入効果をモニタリングして、小さな手応えを得ること、さらにPDCAを短いサイクルで繰り返し、システム化・運用の見直し・改善を図ることが求められており、まさに改善活動の基本ステップを確実に踏んでいくことが、成功のポイントと考えられます。

加えて重要な点は、スマート化は品質向上、生産性向上など、企業の付加価値向上の手段であり、手段と目的をはき違えた活動は全く意味がないということを肝に銘じる必要があります。

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