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中小製造業のスマイルカーブへの対応(中小企業の下請け退出脱出 7)

2020.06.18

こんにちは。
高崎ものづくり技術研究所の濱田です。
当研究所は、中小製造業の現場ですぐ使える品質管理、生産管理、組織・人材管理ツールなどを紹介しています。
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では最終製品の製造販売を行っていない多くの中小製造業にとって、どのような分野で生き残っていけば良いでしょうか。そこで、「素材」「部品」分野において日本が高い競争力を保有していることに注目します。

では、なぜ日本は「素材」や「部品」が強いのでしょうか。それは言うまでもなく日本のモノづくり技術、特に「加工技術」が世界一だからです。特に「微細加工」「高精密加工」などの分野おいて日本は世界一なのです。

戦闘機に使われる特殊塗料、ボーイング社製の航空機787に使われる高強度の炭素複合繊維などに関しては日本製品の独壇場です。また、自動車部品を見ても、多くの部品、コンポーネントの分野で絶対的な優位性を保っています。

この技術は他国では簡単に模倣できるものではなく、その点で、日本の製造業の積み上げてきた品質は世界トップ水準に位置付けられます。では、これらを基に、日本の中小製造業の進むべき方向性を探ってみます。

中小製造業では、完成品メーカーからの受注した部品の図面を提示され、それを忠実に加工・組立を行うというビジネスモデルで事業を行ってきました。しかしそのような企業が、良い部品を作れば買ってもらえるという時代はとっくに過ぎ去ってしまいました。

受注加工生産を行っている中小製造業は、下請け的な受注生産から抜け出すことが最も重要な課題となっていますが、上記の村田製作所のような部品トップメーカーは、本業の部品製造技術を磨き、自社技術の地位を業界トップレベルに引き上げることに成功しました。しかし、一気にこのような企業に成長することはできません。

多くの受注生産企業では、発注元企業からのコストダウン圧力により価格競争を強いられ、高い収益性は望めません。そこで、このような受け身の体質から抜け出すために、加工技術を磨くことはもちろん、スマイルカーブの上流側の部品設計や、固有の製造技術の提案、試作製造、下流側の保守サービスなどの分野に少しずつ業務の幅を広げ、より付加価値の高い業務へ経営資源を振り向けていくべきです。

そうすることで下請け体質から脱出し、大手企業のパートナーの位置づけを確保することが可能になり、顧客の信頼と期待に応え、高い付加価値の部品やサービスを提供して価格競争から脱出できると考えられます。中小製造業は、最終製品(完成品)の企画、製造販売(B to Cビジネス)を狙うよりも、まずは大手企業に対する受注の拡大(B to Bビジネス)に専念しながら、得意な加工技術で良いものをできるだけ高く売れるようにすることが重要であると考えられます。

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