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品質クレームゼロをどうやって実現するのか(守りから攻めの品質管理へ 1)

2020.06.19

こんにちは。
高崎ものづくり技術研究所の濱田です。
当研究所は、中小製造業の現場ですぐ使える品質管理、生産管理、組織・人材管理ツールなどを紹介しています。
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「なぜなぜ分析」や「QC七つ道具」などの品質管理手法は顕在化した問題を解決するために使われてきました。しかし、それでは「モグラ叩き」の対策であることを第一節で解説しました。

信頼性工学では、信頼性を『アイテムが与えられた条件で規定の期間中、要求された機能を果たすことができる確率』と定義しています。分かり易く言うと、ある製品が、設定した環境条件、使用条件の下で、規定された期間中、故障を起こさない確率の事です。

ここで良く使われるのが、「寿命特性曲線(バスタブ曲線)」で、多くの部品から構成される製品では, その故障率は時間の経過とともに変化することを表しており、次の3つの期間に分類されます。
初期故障期:設計ミスや製造による不具合(潜在的な欠陥)や,操作に不慣れなことで起こる操作ミスなどによって故障率が高くなる期間のこと。
偶発故障期:製品の故障率が最も低く, 稼働が安定している期間のこと。
摩耗故障期:設備を構成している部品の寿命が来て再び故障率が上昇する時期のこと。

寿命特性曲線は、初期故障期、摩耗故障期の故障率が偶発故障期に比べ高く、バスタブの形に似ていることからバスタブ曲線と呼ばれ、故障発生を前提とした曲線となっています。

ところが一般に購入するテレビや冷蔵庫などの家電製品はほとんど故障しませんし、寿命も長く、寿命が来る前に買い替えてしまうことも多いと思います。一般家庭の冷蔵庫は、寿命は10年と言われていますが、実際の使用期間は13年というあるメーカーの統計もあります。
そして、使い初めに故障が多いとする「初期故障期」や安定期の「偶発故障期」もほとんどなく、故障を経験したことがないという人も多いのではないでしょうか?

そこで、現在では、信頼性の定義は、『アイテムが顧客の期待する条件、期待する期間において、故障はゼロで、期待する機能を果たすことができること』と置き換えられても良いくらいで、製品の故障は無くて当たり前となっています。バスタブ曲線ではなく、プレート曲線(平らなお皿の曲線)に例えられると思います。

しかし、世の中が、このような品質レベルを期待しているのに対して、中小製造業では、「不良の流出が止まらない」、「人的ミスが繰り返し発生する」などの悩みを多く聞きます。また、このような企業だけでなく、限りなく不良をゼロにするため、更に上のレベルを狙う企業も少なからず存在しています。このように企業によっても品質レベルのばらつきがあると考えられます。

流出する品質問題も様々あり、作業ミスや検査漏れなどの単純ミスから、検査では見つからない不具合まであり、それらを一緒に論ずることはできませんが、ここでは、検査では見つからない「潜在する問題」の流出について考えてみます。

現在では、ものづくりの上流工程で効果的に品質向上を図る予防活動を主体とした品質管理の導入が求められるようになって来ました。それは、問題が発生する前に、潜在する問題を洗い出し、対策を講じていくことが必要になってきたからです。評価試験や検査では見つからない部品の欠陥や作業ミスによる不良などをどのように顕在化していくのかが、品質管理の課題となっています。

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