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スマイルカーブと製造業の付加価値(中小企業の下請け退出脱出 8)

2020.06.18

こんにちは。
高崎ものづくり技術研究所の濱田です。
当研究所は、中小製造業の現場ですぐ使える品質管理、生産管理、組織・人材管理ツールなどを紹介しています。
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スマイルカーブを知っている方も多いと思います。
もともとは、1990年代、電子産業などの収益構造を表す言葉の一つで,部品の加工、組立工程の利益率が低いことを表現したものです。例えば,製品企画・開発や新機能の部品開発,あるいは販売・保守サービスなどの業務は付加価値が大きく,部品の加工や組立などを受注生産するだけでは大きな付加価値は得られないことを指しています。

アメリカのアップル社は、iPhoneなどを製造販売する企業で、製造業に分類されますが、モノづくりは中国の工場に委託しており自社工場を持っていません。2018年の売上高は2656億USドル、日本円で約28兆7千億円です。また液晶テレビやスマートフォンで有名な韓国のサムスン電子の売上高は239兆5800億ウォン、約23兆7140億円です。トヨタが昨年売上高30兆円を超えましたが、それと肩を並べる勢いです。

アップルやサムスンのスマートフォンのハイエンド機では2000個ほどの部品が使われているといいますからその集積度の高さには驚きますが、そこには日本の優れた部品がたくさん使われています。チップコンデンサー、発振子、カメラ用CMOSイメージセンサ、コネクタなど、日本のメーカーは村田をはじめ、アルプス、ソニー、TDKなど名だたる部品メーカーが顔をそろえています。

では、我が日本の部品メーカーの売上高はどれくらいでしょうか?
iPhoneの部品シェアトップの村田製作所は2018年度決算で、1兆5750億円と過去最高の売り上げを更新しました。幅広い用途のコンデンサーや、リチウムイオン電池事業の売上が好調です。アップルやサムスンのスマートフォンには村田の部品が欠かせません。しかし、部品メーカーとしてはトップでもアップルの売上高には遠く及ばないのです。

では、ソニーはどうでしょうか? 2018年度売上高は8兆6657億円となっています。ソニーの歴史はアップル、サムスンに比べて古く、創業年は1946年です。1975年にビデオカセット規格であるベータマックス、1979年に音楽を持ち歩けるようにしたウォークマンを発売し、同社を代表する画期的な製品として世界中の人々に愛用されました。

しかし、売上高は2004年にサムスンに、また2011年にはアップルに抜かれ、その後差はどんどん開いています。液晶テレビや携帯電話、スマートフォンでの敗北、主力製品であったウォークマンがAppleのiPodに淘汰されたほか、テレビ事業やパソコンの「VAIO」事業の売却など、次々とライバル各社に敗北を喫してしまいました。

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